ひな祭りの献立では、はまぐりのお吸い物が定番です。
ではなぜ桃の節句にはまぐりを食べるのでしょう?
その答えは、はまぐりの殻には同じ個体のものでなければぴったり合わさらない性質があり、「生涯一人の人と添い遂げられるように」との願いが込められているからです。
「はまぐりにぬめりがあるけど腐ってるの?」
「ぬめりの取り方がわからない!」
「ひな祭りのお吸い物はどんなレシピで作ったらいいの?」
そんな疑問にお答えしながら、はまぐりについてご紹介したいと思います。
結論から言うと、はまぐりのぬめりは貝の正常な分泌物で、腐っているわけではありません!
綺麗に落とせば食べても大丈夫です。ぬめりの取り方は流水で良く洗うだけです。
ノロウイルス感染リスクを減らすレシピもご紹介!
はまぐりのぬめりは正常!むしろ新鮮な証
はまぐりに触った時、貝の表面にぬめりがあって、腐っているのか不安になったことはありませんか?
貝の表面にあるぬめりは、はまぐりの正常な分泌物です。これは「粘液糸」と呼ばれ、海中ではこの粘液糸を帆のようにして波を捕まえて移動しています。
砂抜きした塩水がぬるぬるするのも、この粘液糸の成分です。はまぐりが生きていないと粘液糸を出しませんから、はまぐりにぬめりがあるのは「新鮮な証」でもあります。
はまぐりのぬめりの取り方
はまぐりのぬめりは下処理の段階でよく洗い流すことで綺麗に取れます。
貝同士を擦り合わせるようにすると、ぬめりも汚れも良く落ちます。
(1)塩分濃度3%くらいの塩水を用意する
(2)軽く汚れを洗ったはまぐりをボウルやバットに並べ、塩水につける
(3)アルミホイルでふわっと蓋をして、冷蔵庫で2~6時間置く
(4)貝同士を擦り合わせながらぬめりを流水で洗い落とす
3%の塩水の目安は水3カップに塩大さじ1杯です。ぺろっと舐めてみてしょっぱいくらいが丁度良いです。
貝同士が重なってしまうと、砂抜きの際に貝が開きにくくなる他、せっかく吐いた砂を下の方のはまぐりが再び吸ってしまうことに繋がります。
できるだけはまぐりが重なり合わないように並べましょう。
食べられないはまぐりの見分け方
食べられないはまぐりの見分け方は主に2つ。それは臭いと音です。
臭いで見分ける
死んでいるはまぐりは貝殻の中で腐っていきます。
貝の腐臭はかなり強烈ですので、腐っていればパックを開けた瞬間にわかります。
音で見分ける
臭いで生きているのか死んでいるのかわからない場合は、貝同士をぶつけてみましょう。生きているはまぐりは高い音がします。
空洞のような低い音の場合は、どちらかが死んでいるので、別の貝ともぶつけてみて判断しましょう。
貝の中で既に貝柱が外れている場合は、がしゃがしゃと揺れる音がします。この場合も死んでから時間が経っているので食べないようにしてください。
ひな祭りのお吸い物レシピ
「生涯一人の人と添い遂げられるように」と良縁を願う意味から、ひな祭りにははまぐりを食べる風習があります。
大切なのは盛り付け方!開いた1つの貝に2つの身を盛り付けます。
添い遂げる夫婦を意味する貝殻の両方に身を入れるのが縁起の良い食べ方とされています。
二枚貝にはノロウイルスがいる可能性がありますから、調理の際はしっかりと加熱しましょう。安全でおいしいレシピをご紹介します。
(1)ミツバを茹でて結ぶ
(2)鍋に水600mlと下処理をしたはまぐり6個を入れて中火で加熱
(3)貝が開いたら醤油小さじ1、白だし小さじ1、料理酒大さじ1を加え、沸騰させる
(4)十分に加熱したらお椀にはまぐりを移す。この時、3つは貝から身をとり、もう3つの殻に1つずつのせる
(5)つゆを注いで、ミツバを盛り付けたら完成
はまぐりが開いたらもう加熱しなくていいと書いてあるレシピが散見されますが、管理栄養士の筆者としては、ノロウイルスへの感染リスクが拭えないと感じます。
はまぐりが開く温度は80℃程度と言われています。
ノロウイルスの感染確率を減らすには食品の中心温度が85℃~90℃の状態で90秒以上の加熱が必要です。
多少柔らかさは失われるかもしれませんが、しっかり加熱することをオススメします。
調理中に手についたノロウイルスが他の食品に触れることでも感染します。貝を触ったら入念に手洗いをしましょう。
お子様の成長を祝う食事ですから、安全なものを食べさせてあげたいですね。
はまぐりにぬめりがある!食べても大丈夫?【まとめ】
はまぐりのぬめりは正常な分泌物で新鮮な証!
ぬめりの取り方は貝を擦り合わせながら流水で良く洗うだけです。
腐っていないこととぬめりの取り方が分かれば安心して食べられますね。
はまぐりや牡蠣などの二枚貝にはノロウイルスの感染リスクがありますので、貝が開けば安心と思わずにしっかり加熱することをオススメします。
せっかく健やかな成長を願うひな祭りですから、そこでお腹を壊してしまわないように、安全に調理しましょう。
はまぐりは「生涯一人の人と添い遂げられるように」との思いが込められた縁起物。
せっかくいただくのですから、お吸い物の盛り付け方にもこだわってみてはいかがでしょうか。