春の時期の手紙の挨拶等に使う「春分の候」はいつから使う?
春めいてきてお彼岸ももうすぐです。
お彼岸のお墓参りなどに加えて、特に春のこの時期には入学、進学や就職などで、身の回りの変化を伝える時期にもあたります。
またとくに変わりはなくともお墓参りの報告がてら、時候の手紙を差し上げてみてはいかがでしょうか?
そんな時に、冒頭の挨拶文に戸惑うものですが、よく使われる春分の候という書き出しはいつから使うのか?その時期はどうでしょうか?
春分の候という挨拶文は春分の日から使います。
以下例文を挙げながら、説明しましょう。
春分とお彼岸とは?
まず春分とは、どういうものでしょうか?
江戸時代以前には、月の運行を基準にした太陰暦が使われていました。
およそ二十八日で地球の周りを一周するのに合わせての暦です。
でも一年を二十八日で割ってみると、三十日も余りが出てしまいます。
これでは、どんどんずれていくので、閏月を入れたりして調整していました。
しかも、太陰暦と季節はしっくりと合わないので、当時ほとんどの人がお百姓さんであったことから、大変不都合でした
そこで二十四節気という季節に合わせた暦があって、こちらも多くの人に使われていました。
その暦に春分があって、3月20日から4月3日が春分になります。
但し、この期間は毎年変わりますので、暦で確認する必要があります。
次に「暑さ寒さも彼岸まで」と言われますが、お彼岸は春と秋にそれぞれ春分の日、秋分の日を中心に一週間に亘って続きます。
2022年の春のお彼岸は、初日を「悲願の入り」と呼び、3月18日(金)、春分の日は「中日」と呼ばれて3月21日(月)、最終日は「彼岸あけ」呼ばれて3月24日(木)です。
お彼岸は季節の目安というよりは、お墓参り等のご先祖供養をメインにした宗教的色合いのある期間ですね。
「春分の候」はいつから使う?
では「春分の候」という挨拶文を見てみましょう。
「しゅんぶんのこう」と読みます。
先ほどの二十四節気の春分の期間、つまり3月21日から4月3日の間に、「春分の候」の書き出しを使います。
時期的にお彼岸の時節に合わせての挨拶文ですが、他にも様々な表現があるので、その例文を見ていきましょう。
「弥生の候」「春雨の候」「卯月の候」「仲春の候」「春暖の候」「春風の候」「陽春の候」などがあります。
これらはいずれも春の季節を迎え、温かくなり過ごしやすくなってきたことをお互いに慶び合う、という意味合いの挨拶です。
寒く辛い冬を耐え、これからは寒さにも妨げられず穏やかな季節を楽しめますね、との季節感を共有しあう挨拶文ですね。
日本では四季がはっきりしており、季節の変わり目も様々な自然の風物、植物や鳥などの変化を目安に感じ取れます。
これらを古くからの言い習わしや季節に因んだ風習で認識を共有化してきました。
「春分の候」に続く例文は?
では更に「春分の候」に続けて使える手紙の文案の例です。
「春分の候、梅に続いて、桃も開花して桜のつぼみも大きくなってきました。」
「春分の候、一雨ごとに暖かさが増してきてすっかり春めいてきました。」
「春分の候、先日近くで蝶々が飛んでいるのを見かけました。」
「春分の候、春かすみがかかって、冬の冷えた空気とは異なり空気にも潤いが感ぜられます。」
これらの文例も、いずれも春になって暖かく良い気候になりましたね、ようやく寒さも落ち着いて季節はいよいよ春ですね、との気持ちを込めた挨拶文です。
四季折々、お互いにめぐる季節のなかで変わりなく元気に日常を送っていることを伝えあい、時候の挨拶を交わし合うのは日本の優れた風習と言えるでしょう。
春分に限らず各季節に応じた適切な挨拶文で始まる手紙の文面には、季節の移り変わりを敏感に感じ取りながら、ときを重ねていくお互いの生活の一端を伝え合い、相手の様子に思いを寄せ合う日本人の優しさ、気遣いがあります。
春分の候の時期はいつから?【まとめ】
春分の候、で始まる手紙の挨拶文がいつから使えるか、という時期といくつかの例文を挙げてみました。
ようやくめぐって来た春の訪れを喜び、温暖な空気に気持ちもうきうきとする春の時期には、このような挨拶文で始まる手紙を親しい人たちに送ってみましょう。
ついメールやチャットで済ませがちな昨今ですが、たまには手紙を書いてみるのもいいですね。
またメールにしても、いきなり用件を切り出さずこういった季節の挨拶文を挿入してみて、
ビジネスライクな印象を少し和らげてみることも大切かもしれません。
時候に適したちょっとした挨拶があることで、メールやリモートでしか繋がらない相手の方にあなたの印象を好意的に受け止めてもらえることとなるかもしれません。
時代が移っても人と人の交わりには、潤滑油のような挨拶を欠かさないことも大切であると感じられます。